お願い文書
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診察していただくお医者様へステロイド不使用治療のお願い
受診時に、ステロイドを使わないで治療してほしいということを医師に伝えるときの文書の雛型です。参考にしてください。
子供版
私の子供の湿疹に対して、ステロイドや免疫抑制剤のプロトピックやネオーラルを使用せずに治療してください。理由は、発生率は少ないかもしれませんが成人型のアトピー性皮膚炎になることを予防したいからです。ステロイド外用剤のない頃は、成人になるまでに多くの人が治っていたのに、最近では治らなくなっている人が多くなっており、この原因としてステロイド外用剤の外用が考えられるからです。免疫抑制剤のプロトピックやネオーラルについても使用したくありません。自然にほとんどの患者が治るのに、プロトピックやネオーラルを使用し、免疫を抑え、発癌が起こるという危険を冒したくないからです。ステロイドや免疫抑制剤のプロトピック等を使用しない場合、治療日数が長くなっても上記の危険を防ぐことには代えられないと思います。なお、ステロイドの内服薬は勿論ですが、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔外用薬、喘息用吸入薬、痔疾用外用薬に入っているステロイドは、微量ですが全身の皮膚に影響があるといわれています。これらについても可能な限り使用しないで治療をお願いいたします。民間療法は不安ですので行いたくありません。まことに不躾なお願いですが、よろしくお願いいたします。
なお、最近になって知ったことをお伝えしておきたく思います。2009年版日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインには、有効性と安全性が科学的に立証されていると言われるステロイド外用薬とプロトピックについてそれらを証明する論文は引用されていません。上記ガイドラインの筆頭著者である古江先生の論文を見ますと、1240名のアトピー性皮膚炎患者に6カ月間のステロイド治療をして、治療前の重症度と治療後の重症度を比べておられます。全体では重症度が改善した率は38%、重症度が変化しなかった率は59%、重症度が悪化した率は3%です。年代別に見ますと、2歳未満の子どもでは、それぞれ順に36%、61%、3%です。2歳から13歳未満の子どもではそれぞれ順に40%、57%、3%です。13歳以上の青年成人ではそれぞれ順に37%、61%、2%です。そして、何れの年代でも治癒者は皆無でした。大まかには、6カ月のステロイド治療で1/3の人は改善するが2/3の人は不変か悪化で、何も治療の必要のない治癒は一人もいないということです。このような結果で、アトピー性皮膚炎はステロイドを塗らなければ治らないとお医者さんが言われることには納得がいきません。プロトピックについても問題を感じております。プロトピックを使用するときには発癌性の問題などにつき詳しく説明する必要があるはずですが、ステロイドと違って副作用は無いとの説明をされる先生がほとんどです。また、ステロイドの代わりにプロトピックを使用してもステロイド単独の治療に比べて改善率が少し改善するだけです。
文献
- 玉置昭治他、成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法、日皮アレルギー 1993; 1: 230-234
初めて脱ステロイドを報告した論文 - 藤澤重樹著、アトピー治療革命、永岡書店、2004年
初めて乾燥ガビガビ療法(脱保湿)を紹介した書物 - 佐藤健二著、患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2008年
脱ステロイド・脱保湿療法を体系的に述べた書物 - 安藤直子著、アトピー性皮膚炎 患者1000人の証言、子供の未来社、2008年
患者へのアンケート調査により患者の立場から脱ステロイドの重要性を指摘した書物 - Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31
外用によるステロイド嗜癖(依存)は潜行性の副作用で医師の間での認知度は低いことと、外用ステロイド中止で激しい離脱症状が出現することを系統的に解説した総説論文 - Leung DYM et al, Atopic Dermatitis, in Dermatology in General Medicine, 6th ed, McGRAW-HILL, 2003, p 1193
昔は成人までに84%は治癒していたが、最近では成人までに20%治り65%は改善している(治らずに皮疹が残っているということ)ということを記述した世界的に有名な皮膚科教科書 - 佐藤健二・佐藤美津子著、ステロイドにNo!を赤ちゃん・子どものアトピー治療、子どもの未来社、2010年
赤ちゃんや子どもの非(脱)ステロイド治療の方法を記した書物 - 古江増隆他、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン、日皮会誌 2009; 119:1515-1534
日本皮膚科学会のガイドライン - Furue M et al, Clinical dose and adverse effects of topical steroids in daily management of atopic dermatitis Br J Dermatol 2003; 148: 128-133
6カ月のステロイド治療で1240人の重症度変化を調べた論文 - 古江増隆、アトピー性皮膚炎治療の進歩、ステロイド軟膏適正使用ガイドライン、アレルギー・免疫2004; 11: 16-23
プロトピックを追加した治療成績を示した論文
保育所・幼稚園へのお願い文書
保育所への手紙原案
個々人に当てはめて書き替えたうえで提出してください。この原案は、佐藤小児科を受診されている方用です。もし、佐藤小児科を受診されていない場合は、そこを変更していただいたらいいと思います。どこも受診されていない場合はご自分の意見として提出することになります。お子さまのアトピーのこと、どういう治療をしたいと家族が考えているか、その根拠になる本などについて書くと分かり易いと思います。
本は佐藤健二著「患者に学んだ成人型アトピー治療 脱ステロイド・脱保湿療法」(柘植書房新社) 佐藤健二・美津子著「赤ちゃん・子どものアトピー治療」(子どもの未来社)
毎日夫人に取り上げられた佐藤小児科の取り組み「ステロイド抵抗感に応える」(毎日夫人2011年3月号) また、「患者に学んだ成人型アトピー治療」は生活クラブの「本の花束2011年2月号」で推薦図書として取り上げられました。(両者とも佐藤小児科マイクリニックのホームページに掲載)
佐藤小児科・阪南中央病院皮膚科を受診されていない場合は上記の本などを参考になさってください。また、ステロイドを使わないでというお願い文書も参考になさってください。
また、mixi脱ステ・脱保湿コミュに、メイさんが幼稚園宛てに書かれた文章も掲載しています。良く書けていると思います。参考になさってください。
「保育所の先生方へ
この〇〇月から、先生方の保育園に○○ちゃんがお世話になることになっております。
○○ちゃんは、アトピー性皮膚炎を患っておりますが、ご両親は外用ステロイドを使わない治療を希望されています。
アトピー性皮膚炎にはステロイドを使う治療が一般的に行われています。ステロイドを使わない治療をする病院は少数です。当診療所のアトピー性皮膚炎に対する治療についての考えを説明させていただき、保育園においてもご協力お願いしたいと思います。
アトピー性皮膚炎は自然治癒する病気であること
ステロイドは抗炎症剤でアトピーを治す薬ではないこと(皮膚科学会のアトピー性皮膚炎ガイドラインにも、治す薬は無いと書かれています)
ステロイドを使わなくても治る病気であること(当院のステロイドを使わない取り組みが毎日夫人2011年3月号に取り上げられました。また、2017年4月8日毎日新聞「くらしナビ」にも取り上げられました。
そのためには、しっかり栄養をとること
アトピーはアレルギーではないので、食物制限はしていません(現在食物アレルギーはありませんが、未食のものがあります。それについては自宅で食べさせてから、保育園でも食べさせるようにしますのでよろしくお願いします)
(除去している場合は、その旨を書く)
バランスの良い食事をすること
かさぶたやビラン面からの滲出液で失われるので蛋白質を多めに摂ること
保湿をしない場合もあります(保育園での塗布はありません)
自由に掻かすこと(大人でも痒いと掻くので子どもに掻くのをやめさせることは不可能です。自由に掻かすとそのうち痒い時以外掻かなくなってきます。掻いてはダメということは子どもにとっても周りの大人にとってもストレスとなります。掻いている姿をじっと見たりするのもしないようにお願いします。)
湿疹を気にせず、普通に育てること(アトピーがあるからと特別扱いはしないようにお願いします。親御さんの話を聞くと、ごく一部の保育園では、「何か塗ってはどうか」とか、「今日も掻いていました」ということがお迎え時に言われるようです。心配してくださるお気持ちからの発言だと思いますが、言われる親御さんにとってはかなりストレスになるようです。)
掻いて浸出液が出たり、出血したりすることについても保育園の先生方から質問を受けます。○○ちゃんには肝炎等の感染症ウイルスはありませんので、他のお子さまたちに血液等を介して移るものはありません。ガーゼや、長そで・長ズボン等で、保護していただいて結構です。保育園では浸出液や血液についてはガーゼで抑えるように拭いていただいても結構です。その際、こすらない様にお願いします。
保育園での手洗いについては石鹸・アルコール消毒はせず、水洗いのみでお願いします。
お昼寝の時やご飯の時は一番涼しいところでお願いします
掻かないように言われ、気にされると、子どもは湿疹が悪いものだ、掻く自分は悪い子どもだと感じてしまいます。掻くのは当たり前、湿疹があっても悪くないんだということが子どもに理解されれば、子どもはのびのびと保育園生活を送ることができます。保育園で思う存分遊ばせていただければそれが一番良いと考えています。
どうかよろしくお願いします。また、今後いろいろあると思いますので遠慮されずに当院へ聞いていただけたらと思っています。
追:2015年、佐藤小児科を含む7か所の医療機関の協力で、6カ月調査(ステロイドを6カ月使用せず、その前後の重症度を調べる調査)をしました。
https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=27740 に論文が載っています。
また、その調査に参加されたお子さまの写真が以下のyoutubeに載っております。
https://www.youtube.com/watch?v=TmDK3dfxNu4
また、毎日新聞の記事はhttps://mainichi.jp/articles/20170408/ddm/013/040/017000cに載っております。
毎日新聞の記事や論文の日本語訳などすべて、以下の佐藤小児科HP https://www.sato-shonika.com/paperに載っています。
是非、ご覧ください。
〒599-8261
堺市中区堀上町123 佐藤小児科
佐藤美津子
TEL 072-281-0215 Fax 072-281-0216
受診されている方でお願い文書書いて欲しい方はお申し出ください。
受診されていない方は、アレンジして、ご自分の言葉で書いてお願いしてください。」
メイさんの文章
「○○のアトピーの件でお願いがありますが、先生方に注意して頂きたいのは以下の点です
- 掻いていても、「掻かないで」とは言わないでいただけると幸いです。
また、アトピーのことも話題にしない。かゆみが強ければ自分から保冷剤など、
もらいに行くよう伝えています。つまり、アトピーのお世話はしません。
痒ければ掻く。痛くなればやめる。ただ、気分を変えるよう違う遊びを促すことは有効的です。 - もしお友達からいじめられていたら、「うつらない病気だから大丈夫だよ」「○○ちゃんは病気と戦って頑張っている。だけど大きくなったらよくなるから大丈夫なんだよ」というようにやさしく諭してあげてください。「気持ち悪い」などとマイナスのことばを発していたら、怒ることなく「そんな風に言われたら悲しいよね」との声がけをしてもらえたらありがたいです。
- 制服や下着に血や浸出液がつきますが、先生方やお友達に感染するような病気ではありませんので、ご安心ください。本人が着替えたいと言えばお着替えもお願いします。随時持たせるようにします。
私は、アトピーだけではなく見た目による差別をなくしたいと思っていますが、子どもの「気持ち悪い」と思った感情は嘘ではなく、真実だと思います。ただ、それをことばとして発して相手を傷つけてしまうのか、そっと胸にしまっておくことができるのか。年長児ならば胸にしまうマナーもそろそろ必要なのではと思います。
発達障害などはいまのところありません。アトピーとはいえ、特別甘やかしたりすることなく教育は皆と等しくお願いします。
長々と書きましたが、よろしくお願いします」